タオの第十一章 「空っぽ」こそ役に立つ

遊園地の

 

大きな観覧車を想像してくれたまえ。

 

沢山のスポークが

 

輪の中心の轂(こしき)から出てくるが

 

この中心の轂は空っぽだ。
※スポーク【spoke】とは、自転車などの車輪の軸と輪とを放射状につなぐ細い棒。
※轂(こしき)とは、車の輪の中心の太いまるい部分。中を軸が通り、周囲に輻(や:細い棒)が放射状に差し込まれている。

 

だからそれは・・・・・

 

数々のスポークを受け止め、

 

大きな観覧車を動かす軸になっている。

 

 

粘土をこねって

 

ひとつの器(うつわ)をつくるんだが、

 

器は、かならず

 

中がくられて空(うつろ)になている。

 

この空(うつろ)の部分があってはじめて

 

器は役に立つ。

 

中がつまっていたら

 

何の役にも立やしない。

 

同じように、

 

どの家にも部屋があって

 

その部屋は、うつろな空間だ。

 

もし部屋が空(から)でなくて

 

ぎっしりつまっていたら・・・・・

まるっきり使いものにならん。

 

うつろで空(あ)いていること、

 

それが家の有用性なのだ。

 

これで分かるように

 

私たちは物が役に立つと思うけど

 

じつは物の内側の、

 

何もない虚(きょ)のスペースこそ、

 

本当に役に立っているんだよ。

 

面白い(笑)