黄帝内径 65.標本病伝論(ひょうほんびょうでんろん)

「はじめて読む人の 素問ハンドブック」 池田政一著 の

黄帝内径の65番目の標本病伝論(ひょうほんびょうでんろん)はとっても短い(笑)

 

病気の症状には枝葉である標状と、根本でる本状がある。

 

一般的には、標状を客症といい、本症を主症と云います。

 

経絡治療家は本篇を論拠として、

・標症(客症)の治療方法を標治法。

・本症(主症)の治療方法を本治法と名付けた。

 ※現代の一般的な言葉かは不明(笑)

例えば、食欲不振を訴える患者が来院すると・・・・

 問診等で原因その他を確かめる。

 

この時肩凝りも訴えたとする・・・・・

 

もし、冷飲食で胃を冷やし、その為に食欲不振となり、同時に肩凝りしだしたとすれば、原因は食欲不振が本症(主症)。

肩凝りは胃が弱ったため現れる症状だから標症(客症)という。

 

この場合、いくら肩を治療しても、肩凝りも食欲不振もなおらない。

 

まず、胃の冷が原因で胃を治療する。

 

胃を元気にするには、胃を支配している脾から補い、ついでに
胃も補って温める。

 これを本治法と言う。

 

脾胃の虚寒からの肩凝りだから、胃経と同じ陽明である大腸経の肩にある経穴に施術する。

 これを標治法という。

 

治療家は常にこれらを区別して治療する。

 

非常に大切な事。

 

本文にある岐伯先生の説を記して説明すると・・・・

 

【その標にあって、これを標に求むることあり。】

 例えば、単なる筋肉痛で全身症状がない場合に、原因も寒や湿
 だけでなく、その筋肉の使い過ぎである。

 この時には直接刺針する。

 

【その本にあって、これを本に求ことあり。】

 例えば、胃腸が冷えて下痢する場合、他にいかなる病症が
 あっても、その本になる胃腸の冷えを取る治療をする。

 

【その本にあって、これを標に求むることあり。】

 例えば、風邪で発熱して数日後、悪寒はなくなり、便秘し、
 腹が張り、口が渇くなどの症状を現す患者がいる。

 この場合、風または寒の外邪により発熱したのでしょうが、
 この段階まで病気が進むと、風邪の治療ではなおせない。

 主訴は風邪ですが、便秘という標症をとってやると熱も
 なおってしまう。

 

【その標にあって、これを本に求むることあり。】

 例えば、腰痛を主訴とする患者が来たとする。

 原因は足からの冷えと、筋肉の使い過ぎ。
 冷えは胃経、筋肉の使い過ぎは肝経、この二経を治療すれば
 腰痛は治る。

 

 以上で述べたように、原因につながる主訴が本症。

  これに府沿いする症状が標症である。

 

・本症だけに治療すればなおるものがある。

・標症を取れば本性がなおる場合もある。

・本症も標症も治療するケースもある。

 

ということで臨機応変に対応ってとこですね(笑)