黄帝内経 55.長刺節論篇(ちょうしせつろん)

黄帝内経の55番目は長刺節論篇(ちょうしせつろん)

 

問診によって刺法をおこなう法について教えてくれている。

 

問診だから患者に質問しながら治療法を考える。

 

冒頭に【刺家診せず。病者の言うを聞く】とある。

 

 脈診や腹診をせずに、病人の訴えだけにより治療法を教えてくれる。

 

①頭痛の治療。

 頭痛が激しい時には頭に直接刺せ。

 針が骨に達するまで刺入する。

 浅すぎるとなおらない。

 

確かに、慢性の頭痛患者は、痛む場所がブヨブヨしていたり、逆に異常に堅いものです。

その部に直接刺入します。しばらく置針しておればなおる。

 

②五臓から発した寒熱病の治療

 臓が原因で寒熱病を発することがある。臓が寒の状態になると、口渇なく、

 下痢し、小便回数が多くなる。

 あるいは逆に、便秘して腹痛を起こしたり、尿量が少なくなる。

 身体は冷えやすくなる。

 

臓が熱をもつと、手足が熱し、汗をかきやすくなる。

口渇し、午後になると必ず発熱する。

汗が出て解熱する。

熱のために頭痛、不眠などになり、身体が痩せてくる。

このような臓の寒熱症の反応は、第一に督脈(とくにゃく) に現れる。

慢性になるほど膀胱経の方の向かって反応が現れやすくなる。

 

③廱腫(ようしゅ)の治療

 腐った部分の上を刺せ。

 大きい廱(おでき)は出血させる。

 小さな廱は深く刺す。

 実際に廱を刺す時は、その周囲に浅く刺入するか、または糸状炎を数ヵ所施すといい。

 

④疝(せん)の治療

 腹痛、大小便不利、これが寒が原因で、疝という病気。

 下腹部、股間、腰部などの経穴に治療する。熱してくるととめる。

 

これは冷え性の事で、腹痛のかわりに腰痛、大小便不利のかわりに月経不利、などに変わっても現れる。また、足がだるく引きつるなどの症状もでる。

 

⑤筋痺(きんび)の治療

 筋が引きつり、節々が痛んで歩けない。これを筋痺と言う。

 痛む筋の上と、肉と肉の間に刺針するのがよい。

 骨にあたるほど深くさしてはならない。

 筋が熱してきたら治療を中止する。

 

現代の神経痛やリウマチの類。

痺は寒邪や湿邪から起こる。

筋をさすためにかなり深く刺入しますが、局所が熱するように(補法)刺さなければならない。

 

⑥肌痺(きひ)の治療

 肌肉があちこち痛むのを肌痺と言う。

 寒邪と湿邪によって起こる。

 肉と肉の割れ目を多数刺すとよい。

 熱してきたら中止する。

 針が深すぎると、その部分に廱(おでき)ができる。

 

神経痛やリウマチの類ですが、筋痺より浅い部分の病変です。

肌痺の場合は多く汗が出る。

だから、痛みを訴える患者で、汗があれば浅く刺針する。

経穴に関係なく、痛む場所に散針を施す。

ただし、補法で行う。局所が熱するように刺針する。

 

⑦狂の治療

 すべての陽経脈が病んで寒熱発熱する。

 その陽経脈の支配する部分も熱したり、寒したりする。

 これは狂である。

 陽経脈を写法する。

 

神経に異常を現す病気のうち、狂状を現すものはすべて陽経の熱。

たいていは胃経の熱。

これを写法すると狂躁状態は治る。

 

⑧風邪の治療

 風邪にかかって寒熱発熱し、汗が一日に数回出て悪寒のない時は、

 皮膚表面の浅い部分を刺せ。

 汗が出て悪寒し、ついで発熱するものは三日の一回の治療でよい。

 

風邪で悪寒発熱のある場合は、皮膚に針先を接するぐらいの治療でいい。

汗が出て悪寒がある場合は、それだけ陽虚がひどいことを意味する。

 

いろいろあるね~♪