タオの第80章 理想の国

私は国境のない世界を願っているが

 まだ無理のようだから、まあ・・・・

 自分の理想とする国を、描いてみよう。

 

私の大切にしたいのは

 大きな国でも強い国でもない。

 

ほんの小さな集落の集まりのようなもの。

 

人口もごく小ない。

 

住民たちは

 いろんな道具を持ってはいるが

 ろくに使おうとしない。

 

みんな・・・・・

 

命をとても大事にするから

 危険な旅なんかに出ない。

 

船や車は持っているんだが、ほとんど

 乗らないってわけね。

 

同じように

 武器もちっとは備えているけれども

 誰も使わないし

 商取引をするには、ただ

 ごく単純な考えかたですます。

 

それでいて

 食事はゆったりと、おいしい物を食べ

 着るものは美しい上等な服、

 日々は安楽であり、

 習慣は乱そうもしない。

 

隣の国は近くて、

 犬の吠える声や鶏の鳴く声が聞こえるほどだが、

 そんな隣国とも往来しない。

 

そして、随分歳をとってから

 静かに死んでゆく。