第二章:中医:蔵象学説:五臓の肝:気機の調暢 62頁♪

◆気機の調暢

 

気機とは気の昇降出入り運動のことである。

 

人体の臓腑、経絡、器官などの活動は、すべて気の昇降出入運動に依拠する。

 

※疏泄(そせつ)は拡大していく気が動いていくことで、この機能は肝が担っている。

特に東洋医学の領域では、体全体の「気と血」の動作にかかわる働きが肝であると考える。

気機(きき)は細胞に「出入」したり、身体を上昇したり、下降したりする気の流れを意味し、コントロールしているのが肝とされている。

 

肝の整理的特徴は昇と動を主ることで、肝は気機の疎通、暢達、昇発の重要な要素である。

 

だから、肝の疏泄が正常に功能しているか否かでは、気の昇降出入の平衡と協調に対して調節作用を果たす。

 

功能が正常であれば、気機調暢(ききちょうしょう)、気血調和、

 経絡通利がもたらされ、臓腑や器官などの活動も調和する。

 

さもなければ、二つの病理現象が現れる。

 

一つ目は、肝の疏泄功能の減退である。

 肝が疏泄を失えば、気の昇発が不足し、気機の疎通と暢達が

 阻害されるので、気の不暢、鬱結という病変が生じ、胸肋

 (きょうろく)、両乳、少腹など、局部の脹痛(ちょうつう)、不快な

 どが現れる。

 

二つ目は、肝は昇発過剰である。

 気の昇発が過剰になり、気の下降が滞る。

 肝気の上逆という病変が生じ、前頭の脹通、目と頭の発赤

 怒りっぽいなどといった証が現れる。