◆気機の調暢
気機とは気の昇降出入り運動のことである。
人体の臓腑、経絡、器官などの活動は、すべて気の昇降出入運動に依拠する。
※疏泄(そせつ)は拡大していく気が動いていくことで、この機能は肝が担っている。
特に東洋医学の領域では、体全体の「気と血」の動作にかかわる働きが肝であると考える。
気機(きき)は細胞に「出入」したり、身体を上昇したり、下降したりする気の流れを意味し、コントロールしているのが肝とされている。
肝の整理的特徴は昇と動を主ることで、肝は気機の疎通、暢達、昇発の重要な要素である。
だから、肝の疏泄が正常に功能しているか否かでは、気の昇降出入の平衡と協調に対して調節作用を果たす。
功能が正常であれば、気機調暢(ききちょうしょう)、気血調和、
経絡通利がもたらされ、臓腑や器官などの活動も調和する。
さもなければ、二つの病理現象が現れる。
一つ目は、肝の疏泄功能の減退である。
肝が疏泄を失えば、気の昇発が不足し、気機の疎通と暢達が
阻害されるので、気の不暢、鬱結という病変が生じ、胸肋
(きょうろく)、両乳、少腹など、局部の脹痛(ちょうつう)、不快な
どが現れる。
二つ目は、肝は昇発過剰である。
気の昇発が過剰になり、気の下降が滞る。
肝気の上逆という病変が生じ、前頭の脹通、目と頭の発赤
怒りっぽいなどといった証が現れる。