第二章 中医の蔵象学説の五臓の脾の志は思考 58頁♪

脾の志は思いである。

 

思いは思考、思慮(しりょ)、意識、思惟活動の一種。

 

思は脾の志であるが、心が神明を主ることと関係があるので

 「思は心より出て、脾が応ず」という。

 

正常な思考は人体に影響を及ぼさないが、過度の思慮

 や思いを遂げられない情況は生理活動に影響を与える。

 

そのうち、もっとも主要なものは、気の正常な運動に影響し、

 気滞と気結をもたらすことである。

 

脾臓にもっとも影響を及ぼすのは、脾の運化功能である。

 

気結になれば脾の昇清に影響をするので、過度な思慮は

 飲食の不振、上腹部張満、目まいなどをもたらす。

 

◆脾の液は涎(よだれ)である。

 

涎は口の津液で、唾液の薄いものを涎という。

 

涎は口腔膜を保護し、口腔を潤沢にする作用を有し、飲食の時に分泌がかなり多くなり、飲食の嚥下(えんか)と消化を助ける。

 

正常な情況のもとでは、唾液は口に上行するが、口の外には溢(あふれ)ない。

しかし、脾胃が和さなければ、唾液の分泌が急増したり口から溢れたりするので、脾の液は涎であるといわれている。

 

◆脾は体では肌肉、四肢に合す。

脾胃が気血水化の源であるので、全身の肌肉は、脾胃の水穀の

 精微を運化して栄養を与えてこそ、発達して豊満になる。

 

肌肉が健全、旺盛であるか否かは脾胃の運化能力と関係があり、

 脾胃の運化功能に障害が生ずれば、羸痩(るいそう)、萎弱不用

 になる。

※羸痩(るいそう)とは、脂肪組織が病的に減少した症候をいう。

 ダイエットや病気でのゲキ痩せ。

 

これが「痿を治する者は独り陽明に取る」の理論的根拠でもある。

※黄帝内経の素問44番の痿論篇(いろん)は最古に記され

  「体が萎えてきて治すときには陽明経を取る」と教えてくれ

  ている。

 

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