第二章 中医の蔵象学説の五臓の脾、昇清を主る 56頁♪

◆昇清(しょうせい)を主る。

 

脾気の運動の特徴は昇清である。

※脾の機能で上に上げるという意味がある。

 

「昇」は上昇、「清」は水穀の精微など栄養物質の事。

 

昇清とは、水穀の精微などの栄養物質を吸収して心、肺、頭、

 目に上輪し、心肺の作用で気血を化生して全身に栄養を送る

 事である。

 

昇と降は矛盾する行動であり、脾の昇清は胃の降濁と対をなす。

 

これが一つ目の要素である。

 

 

二つ目の要素は、臓と腑との間の昇清相因と協調平衡は

 内臓が常に一定の位置を維持するための重要な要素である。

 

脾の昇清の功能が正常であってこそ、水穀の精微など栄養物質

 吸収し、正常に輪布して、元気を充実させ、内臓を下垂させ

 ない。

 

逆に、水穀を運化できなければ、気血の生化の源がなく、神疲

 、乏力(脱力感)、目まい、腹張、下痢などが起り、脾気(中気)

 が下陥(げかん)すれば、慢性下痢、脱肛が起り、ひいては

 内臓下垂などが現れる。

 

◆統血を主る。

 

統は統摂(とうせつ)、統制のことで、統血とは脾が脈中における血液の運行を統摂し、脈外に溢れるのを防止する功能を有する事。

 

脾の統血の主要なメカニズムは、脾気の血に対する個摂することができるのは、脾が気血生化の源であることと密接な関係がある。

 

脾の運化の功能が健在、旺盛であれば、気血が充実し、気の固摂作用も強大になる。

 

その逆であれば、気血生化の源がなくなり、気血が虚欠し、気の固摂作用も減退し、失血する。

 

便血、尿血、崩漏(性器からの異常出血)などを「脾の統血不能」

 と云う。