黄帝内経 38.咳論篇(がいろん)

黄帝内経の38番目は咳論篇(がいろん)という「咳について」です。

 

素問では、咳は肺が悪い時だけに出るのでは無いと教えている。

 

肝や脾が弱った時にも咳がでる。

 

①肺咳:冷飲によって胃が冷えると、胃の陽気が不足して肺も冷える。

 これによって咳が出る。

 ※五臓の色体表では、五臓から栄養を補充するものとして皮がある。

 だから、身体を冷やした時に出る咳も、肺が弱った為に出る咳である。

 肺咳が長くなると、咳をした時大便を失禁するようになる。

 

 ・飲食によって出る咳は子供に多いらしい。
  前胸部と肺経全体に皮膚針を行うと治る。

 

 ・咳して大便失禁するのは老人に多い。

  肺経・脾経を補うと治る。

  漢方薬なら胃を暖めるのを選びます。

 

②心咳:心からでる咳は、咽中乾燥感、咽痛などの症状をともなう。

 この咳は胸に熱がこもった時。

 肝経の中封穴と肺経の魚際穴を補うと治る。

 咽痛が顕著な時は腎経を補う。

 

 この心の咳が長くなると、咳と同時に屁をする。

 

③肝咳:肝から出る咳は、両方の脇腹が痛む。

 痛くて寝返りができないくらい。

 この咳が長くなると胆汁を嘔吐するようになる。

 この咳は肝熱の為。

 肝の在る胸脇部に熱がこもると、その熱によって肺が蒸された状態になる。

 これを肺のうつ熱と言う。

 針灸では肺、脾を補い、肝または胆を写法する。

④脾咳:脾から出る咳は、右脇の下腹が痛んで重苦しくなる。

 肩や背にひびいて痛い。

 わずかの動きでも咳は激化する。

 この咳が長引くと、咳をした時に嘔吐するようになる。

 それらの多くは胃寒から肺を冷やして起こる咳。

 肺が冷えると小便回数が多く、鼻水やよだれ多くなる。

 肺を暖めるようにします。

 

⑤腎咳:腎から出る咳。咳が出ると腰や背が痛む。

 これがひどくなると、咳をするごとに小便を失禁する。

 咳をしたとたんにギックリ腰になった、と言う人がいるのはこのパターン。

 多くの場合、肺経と腎経、腎経と肝経を治療する。

 軽い刺激が良い。

 

本文には、咳を発する時には「鼻汁・唾液+浮腫」の症状が出る。

 

1)肺の燥熱の咳⇒鼻汁は濃く、唾液が粘痰に変わるほどになる。

 

2)肺の温寒の咳⇒鼻水はたらたらを流れ、唾液もよだれとなる。

 

3)咳が慢性化⇒顔面に浮腫が出てくる。

 

たった、咳ひとつでもこんな判断の方法があるのは、面白いですね(笑)