黄帝内経 25.宝命全形論篇(ほうめいぜんけいろん) 

黄帝内経の25番は宝命全形論篇(ほうめいぜんけいろん) です。

どんな事が書かれているかといえば、『天寿と病』について。

万物のうちで最も貴重なものは人間の命である。

 

これを全うするための刺法が論じてある。 

なので針の刺し方らしい。

黄帝が岐伯先生に質問するところから始まる。

「針で病気を取り除く方法を教えてほしい。

 

重症の患者をみると、私の心は乱れ治療方針が立たない。

 

かえって病状を悪くさせてしまう。」

 

岐伯先生の回答は下記の項目を守る事と教える。

 

①精神を安定させて治療に臨む事。

 

②養生法をちゃんと勉強して守って患者の手本となる事。

 

③薬草の働きや用い方を勉強する事。

 

④針の種類や使い方を勉強する事。

 

⑤臓腑経絡の気血の状態を知る事。

 

といわれる。

 

①と②は心身共の健康であるのが重要。

 

特に患者の手本となるって凄いね~♪

なんとなく「医者の不養生」当たり前のように思えていたのが、2000年前は
自分が手本となる生き方をしなさいと教えてくれている。

 

身体はもちろんのこと精神状態が安定しない、イライラしながらの治療は良くないと
当たり前のことを言っている。

現代の医者の患者と面談するのは3分が平均らしく、それではイライラもするだろうと思える。

それでは、良い結果がでないのも納得。

 

③の薬草とは漢方薬の事。

 

一般には動物、鉱物も使われるので生薬とか漢薬とかのこと。

 

なんと針にもいろんな種類があるらしく、病状によって使い分けるらしい。

 

その為には各針に作用の仕方や使い方を学ぶ必要がある。

 

どこまでも、学ぶ姿勢が問われる東洋医学です。

 

岐伯先生はさらに治療上の注意するべき事を教えてくれている。

 

1)虚をさして実するのを待ち、実をさして虚するのを待つ。

 決して、刺しすぎてはならない。

 

 虚とは不足している事で、実とは多すぎるとか入るとかの意味。

 

 なので、不足しているなら、満ちてくるのを待つ。

 

 多すぎるなら、余計なものを取り除くようにして不足するのを待つ。

 

 池の水のようなやり方。

 

2)針の深さは季節によって基準値がある。でも虚実の状態で加減するべし。

 

3)ここが凄い・・・・刺針に際しては「虎に接するごとくに慎重でなければならない」
 とある。虎に接した事はないが命がけでやれって感じです。

4)患者の気の状態に注意する事。
 気が至るときは「鳥はどこからともなく一斉に集まってくる感じ」である。

 気が去るときは「鳥がぱーーーっととび飛び立つような雰囲気」とのこと。

 

これらを練習するのは、最初は自分の足で行う。

 

次に家族や知人に刺して練習する。

 

それから練習を繰り返して、慣れてきて・・・始めて患者に刺す。

 

慎重に精神を集中して刺すべし。

 

との事。


鍼灸師の人たちって、こんな事を学ぶんだなって思います。

何事も技術には不思議な面白さがあるのものです。