黄帝内径 16診要経終論(しんようけいしゅうろん)

この章は「はり師」の人向けの内容となっている。

 

専門家が何を観てどう動くのかが面白い(^^♪


・なぜ「針」ではなく「鍼」という字を使うの?

 針と鍼は両者とも同じ意味、どちらも「はり」という。

 現在の日本では治療用の「はり」は「鍼」という字に統一されている。

 ※日本鍼灸師会や全日本鍼灸マッサージ師会でも公式文書上、「鍼」で統一されてる。

  「鍼」と書いた時には、治療の「はり」のこと。

  「針」と書いた場合はその他の、縫い針や注射針などの針を表す。

 一方で、中国では「針」という字で統一されているらしい。

 

・鍼灸師とは?
 鍼灸師(しんきゅうし)は、
 はり師ときゅう師の国家資格を所持している者を指す。
 はり師ときゅう師は別の国家資格であるが、同じ鍼灸師養成施設で単位を取得し卒業することで両者を受験できる。鍼灸師という名称は、現在の法制度上では存在しないとの事。


ということで・・・・黄帝内経にもどって、はり師が何を見て、仕事をしているのかに戻りますね。

はり師は針を刺すときの方法と注意事項。

 

1. 春は経略や肉の割れ目に浅く刺す。
   血が少しくらい出てもよい。

 

2. 夏は経脈を浅く刺す。この程度の治療で痛みなどは直ってしまう。

 

3. 秋は皮膚に針先が当たる程度に刺す。気の働きに注意し、全身を治療すること。
  少しでも反応があったら中止せよ。

 

4. 病がひどいときは深くさす、軽い時は浅くさす。

 

ここまでなら・・・・そうかと思うが、季節によって刺し方を注意しないといろんな病症が出てくるのです(笑)

◆春のさし方

 ①   春に夏のさし方をすると・・・・
   ・脈気が乱れ

   ・呼吸が浅くなる

   ・食欲がなくなる

 

②   春に秋のさし方をすると・・・・
   ・筋肉が痙攣する。
   ・のぼせる

   ・咳

   ・驚いたり泣いたりする。

 

③   春に冬のさし方をすると・・・・

   ・水腫ができる

   ・おかしなことを言い出す

 

◆夏の刺し方

④夏に春の刺し方をすると
  ・無気力になる

 

⑤夏に秋の刺し方をすると
  ・被害妄想狂になる。

 

⑥夏に冬の刺し方をすると

 ・なんと、怒りやすくなる。

 

◆秋の刺し方

⑦秋に春の刺し方をすると
  ・もの忘れがひどくなる。
  ・怒りやすくなる。

 

⑧秋に夏の刺し方をすると
  ・身体がだるくなり、眠くなる。

 

⑨秋に冬の刺し方をすると
 ・むねやけがする。

 

◆冬の刺し方

⑩冬に春の刺し方をするとと
 ・横になりたがるが眠れない。

 

⑪冬に夏の刺し方をすると
 ・のぼせてあちこちに麻痺が生まれる

 

⑫冬に秋の刺し方をすると
 ・口が渇く。

 

面白いと思いませんか?

書いていながら一人で笑ってしまう。

街中で鍼灸師の看板を見たときに思い出してくださいね♪

 

 ※水腫(すいしゅ)とは?

  動脈側毛細血管からの濾出と静脈側毛細血管の再吸収およびリンパ管からの

  排出の動的平衡が崩れることにより細胞間隙や体腔に余剰な水分が貯留する現象。

  皮下組織に貯留したものを浮腫、体腔内に貯留したものを胸水、腹水、心嚢内に

  たまると心嚢水などと呼ばれる。

 

参考書籍:「初めて読む人の 素問ハンドブック」池田政一署著から