黄帝内径 9六節臓象論(ろくせつぞうしょうろん)

この章は、五行の相生相剋関係について。

黄帝と岐伯先生のやり取りから始まる。
 
黄帝曰く「何をか勝つ所という」。
 
岐伯先生は「春は長夏(ちょうか:土用の事)に勝ち、長夏は冬に勝ち、冬は夏に勝ち、秋は春に勝ち」と答える。
 
五臓には性格があり、相剋の関係を持って働く。
 
剋とは『勝つ』事。
 
肝は膵(脾)に勝つ。
 
膵(脾)は腎に勝つ。
 
腎は心に勝つ。
 
心は肺に勝つ。
 

 
1. 肝は膵(脾)を剋す。春は長夏に勝つ
 
肝は膵から何かを取ることで働く。
 
膵は血を作る。
 
肝は筋を働かすために血が必要です。
 
肝が働けば働くほど膵(脾)から血を取り上げる。
 
これを肝は膵(脾)に勝つと表現したのです。
 
肝は春になると良く働く。
 
体質的に膵の弱い人は、肝に血を取られるから、春になると脾虚肝実といわれる状態になる。
 
膵(脾)が弱ると栄養分の消化吸収等の力が低下し、肝は血を貯蔵しすぎて炎症を起こす。
現代でいう肝炎に当たる。
 
2. 膵(脾)は腎を剋す。長夏は冬に勝つ。
 
膵(脾)と腎の関係は少し異なります。
 
膵(脾)で作られた精は腎に貯蔵される。
 
その精によって膵(脾)は働かされる。
 
通常の相剋関係と違って、膵(脾)人は平等な関係である。
 
だから、膵(脾)が弱くなると腎も弱くなる。腎が弱くなると膵(脾)も弱くなる。
 
膵(脾)は土用に良く働く。
 
体質的に腎の弱い人は、下焦において陽気不足になる。
 
腎が弱いと、膵(脾)は良く働く時期なのに働けない。
 
結果、下半身が冷えて下痢する。

下痢には、二つのタイプがある。
 
・膵(脾)だけが弱まっての下痢と、胃、大腸、小腸に問題のある下痢は・・・・回数も多く腹痛下痢になる。 追加コメント=「時には発熱もある」
 
・腎から膵(脾)が弱まっての下痢は腹痛も少なく、回数も2~3回。 追加コメント⇒「大便失禁ある」  
 
・・・・追加のコメントが怖い!

3.腎は心を剋す。冬は夏に勝つ
 
心には陽気が多くある。
 
腎には陰気が多くある。
 
この陰気と陽気は交流して健康を保つ。
冬は冷えるので腎は良く働いて心の陽気を下に降ろす。

その為に足腰は寒くない。
 
ところが体質的に陽気の少ない人は、腎がいくら働いても陽気が降りてこない。
 
腎の陰気ばかりが盛んになり、余計に冷えるようになる。
 
冷えると益々陽気が不足して心に負担がかかる。
 
この関係を腎は心を刺すという。
 
4. 心は肺を剋す。夏は秋に勝つ。
 
心は肺を尅する関係にある。

肺は心の陽気を全身にめぐらす。
 
夏になって心がよく働き陽気が多くなると、当然肺に負担がかかる。
 
この時よく運動し、呼吸を盛んにして陽気をめぐらし、あまった陽気は汗とともに発散する。
 
もし、肺が動かないと上半身に陽気が留まる。
 
頭がボウっとして頭痛・不眠・動悸などの症状がでる。
 
5. 肺は肝を剋す。秋は春に勝つ。
 
肺は茎をめぐらし全身を活動させる。
 
活動するのは筋を支配している肝に負担がかかる。
 
以上が相剋関係の説明となる。
 
剋するとは、相手の持っている何かを取る。
 
あるいは相手に負担をかける、と考えられる。
 
肝は膵(脾)から血をとる。
 
腎は心に、心は肺に、肺は肝にそれぞれを無理させる。
 
◆相剋関係の利用
 
病気とは陰陽の気のバランスの崩れ。
 
それを調整するのが治療となる。
 
・バランスが崩れている場所の確定が大切。
 
・病気が浅さい時⇒陽気と陰気の変化の場所の確定。
 
・臓と腑の陰陽バランスの崩れ。
 
・相剋関係をひとずつバラバラにし、陰陽の関係として考える。
 
病症を生理すれば治療に役に立つ。
 
・肝(陽)と膵(陰)
・肺は(陽)と肝(陰)
・腎(陰)と心(陽)
 
などが陰陽の関係病症を表す。
 
五行相剋関係は陰陽論の変化発展したものと考える・・・・・凄いです♪