五行思想と色

五行説と色について書きます。

 

皆さんご存知のように古代中国では、「木」、「火」、「土」、「金」、「水」を万物の根源とし、この5つ(五行)によって宇宙のすべてが成り立つと考えました。
 
この五行思想は飛鳥・奈良時代に日本に入り、政治・宗教・思想・社会生活に影響を与え、現在でも私達の生活の中に生きています。


この5つの要素には象徴としての「色」が当てはめられています。


木=青、火=赤、土=黄、金=白、水=黒

 

水はなぜ黒なのか?


木、火、土、金に当てはめられている色はイメージしやすいが、水はなぜ黒なのか?
昔の人は、天から雨が降って、小さな川となり、小さな川が集まって大きな川となる。
そして川が海へと流れ、その海の更に下の方に行くと、光が届かない漆黒の世界がある。
ことを言っているようだ。※この他にも説は様々。


この5つの要素には方角、季節、徳目なども当てはめられている。


五行の方位と色


古くはキトラ古墳の壁画。

五行の方位と色にそって神獣が描かれている。

東=青龍(青)=木
南=朱雀(赤)=火
西=白虎(白)=金
北=玄武(黒)=水
中央=黄=土
※黄色が中央にあるのは中華思想によるもの。


冠位十二階の制と色


聖徳太子(現在では本当にいたのかどうか?)が、定めたと言われている冠位十二階の制。

五行の「仁」、「礼」、「信」、「義」、「智」に最高位の「徳」が加えられて、上から紫、青、赤、黄、白、玄(黒)が当てはめられている。

皆さんご存じの通りです。


紫は五行にはないが、染料として大変貴重な色なので最高位の色として使われている。

中国は最高位の色は黄色ですが、ほとんどの国では紫を最高位の色として尊重されています。


ここでひとつ疑問となるのが白である。
白は神の色として昔から崇められ、天皇しか許されない色とされた。
いわゆる禁色である。
その白が使われているのは謎である。

誰も見たことがないので、文献を信じる以外にない。


現在でもこの五行の色は生きている


大相撲の土俵の上にある吊り屋根の四隅から垂らされている房。
五行の方位と四季と色、そしてそれを守る神獣があてはめられている。

東は青房=春=青龍
南は赤房=夏=朱雀
西は白房=秋=白虎
北は黒房=冬=玄武


5月5日のこどもの日にあげられる「鯉のぼり」の吹き流しの色も五行にそった配色。


このように陰陽五行と色の関係は今でも私達の生活の中に生きています。