◆肝は蔵血を主る。
肝を蔵するとは、肝が血を蔵す、血量調節の生理功能を具えていること。
肝の蔵血功能とは、肝内の一定量の血液を貯蔵し、陽気の昇騰(しょうとう:高く上がる事)を抑制(よくせい)して過剰にさせず、肝の疏泄功能を維持して穏やかに条達させることに現れる。
ついで、肝の蔵血には出血を防止する重要な作用がある。
ただし、肝の蔵血功能には人体の各部分に分配する血量を調節することも含まれる。
特に外周の血量の調節に主要な役を果たす。
正常な情況のもとでは、人体の各部位の血量は相対的に安定している。
但し、人体の運動量の増減、情緒の変化、外界の気候の変化などの要素に応じて、人体の各部位の血量も変化する。
人体が激しく活動する情緒が激動すると、肝臓は貯蓄している血を外周に輸布して需要に応ずる。
人体が安静になるか情緒が安定すると、活動量が少なくなるので、外周の血液の必要量が減少し、血液は肝に貯蔵される。
「人臥(が)せば血は肝に帰す」のである。
肝の蔵血功能によって、人体の各部位の生活活動は肝との関係が密接である。
肝に病が生じ、蔵血功能が異常になれば、虚血が出血を引き起こしすばかりか、血液の供給不足による病変を起こす部位も少ない。
たとえば、肝血が不足し、目を濡養(じゅよう)できなければ、両目が乾き、かすみや夜盲になる。
筋を濡養できなければ、筋脈が硬直し、肢体が痺(しび)れ、屈伸(くっしん)しにくくなる。
「黄帝内経の素問」の「五蔵生成篇」に、「肝は血を受けて能(よく)
く見、足は血を受けて能くあゆみ、掌(てのひら)は血を受けて能
く握り、指は血を受けて能く摂る」とある。
肝が疏泄を主り、陽気の昇発が多すぎるので、「怒は肝を傷(やぶ)る」と云う。
逆に、肝の陰血が不足し、肝の陽気の昇泄が多すぎると、少しの刺激でも怒りやすくなる。
肝というのは激しいですね(笑)